冬の最適アンダーウェアはなにか

2011年01月14日

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冬の最適アンダーウェアはなにか
発熱下着VSメリノウールアンダーウェア
 冬本番です。どこの山も雪で真白。この数日、「昨日雪の中でキャンプした。」とか「これから行くので必要なものをそろえたい。」というつわものが何人も来店されてなんかこちらもうずうずしてきました。
「雪原が夕日に照らされて見渡すかぎりピンクに染まる・・・」なんて絶景見てみたいですね。
 今回はそんな冬の冒険を安全に快適にサポートしてくれる下着のお話です。

 アウトドアの世界ではだいぶ前からM社の発熱下着がブレイクし、昨年からは一般にもあのU社はじめいろんなメーカーが参入して「発熱下着にあらずんば下着にあらず」みたいな様相ですが、この実力ってどの程度のものなんでしょうか?

 「発熱するから暖かい!」まあ、それはそうなんでしょうけど、それがどういう原理なのかというと「人体から放出されている湿気(水分)を吸って発熱する」というしくみだそうです。ところがこれには限界があって飽和状態に達するとそれ以上に発熱することはなく、それどころかその吸った水分が乾いていく過程では逆のことが起きます。つまり今度は冷えるのです。
 汗で濡れた下着が乾いていく過程では、ただでさえその気化熱によって体が冷やされてしまうのに、それをさらに追い打ちをかけてしまうのが発熱下着だということになります。

 メーカーの人にこの点を聞いてみると「繊維に練り込む発熱パウダーの量を微妙にコントロールすることでそのようなデメリットが生じないように調整されています。」という答えが返ってきましたが、私はこの答えに納得がいきませんでした。吸湿→発熱が一方通行の現象でない以上、乾燥→冷却は必然だからです。 一般用のものはよく知りませんが、アウトドア用のものは速乾性もあるので発熱のマイナス反応と気化熱によるヒートロスのW効果による汗冷えは大きなものになるはずです。
 結局発熱下着の実力は暖かいのは着用直後のみ、その後は発熱冷却を繰り返し±0、発汗により濡れてしまったら汗冷えしてしまう、というものでしかないのです。

 実は水分を吸って発熱するという機能のお手本になったのはウールの持つ湿潤熱です。発熱繊維はウールの機能を目指して開発されたといっても過言ではないでしょう。しかしウールと発熱繊維を比べてみると発熱以外の面では全くその性質が違っています。

 化学繊維である発熱繊維は水分をほとんど吸い込みません。ただ繊維に練り込まれているわずかな発熱パウダーが水分を吸収するのみです。そして繊維間に残った水分はあのいやな汗冷えのもとになります。
 それに対してウールは大量の水分を繊維内に取り込みます。それでいて繊維の外側は疎水性を持っているため一旦吸収した水分を逃がしにくいという性質があります。これはウールの乾きにくいという欠点の元ではありますが、保温性の面では気化熱によるヒートロスを最小限に抑えるという素晴らしい効果を発揮します。

 ウールの高い保温性は湿潤熱だけでなく、熱伝導率の低さや空気をたくさん保持できるなどの性質にもよります。昔のウールの下着は着心地が悪かったですが、今のメリノウールの下着はちくちく感もなく着心地も良くなっています。冬のアウトドアの下着は暖かく、汗冷えしにくいメリノウールで決まりです。

ちなみに最初に発熱下着を世に送り出し、アウトドア業界の下着市場を席巻したM社の上級モデルはなんと発熱素材とウールの混紡になっています。結局そういうことなんですね。

by mob




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